<世界の鶏料理>
キエフチキン(ウクライナ)
 バターを伸ばして芯にし、周りにモモ肉のミンチとたまねぎで作ったつくねを巻きつけ、さらに、平たく伸ばしたムネ肉でぐる りと巻きます。その周りにパン粉を付けてたっぷりの油で揚げるのですが、上手に作っておかないと、中のバターがあふれ出して、おじゃんになります。食べる ときには縦に真っ二つにして、中のソースと付け合せのマッシュポテトを絡めながら食べます。なかなかおいしい。

 ウクライナの隣のベラルーシでは、丸鶏のお知りから水が入ったビンを刺して、オーブンで丸焼きにする珍しい料理があります。外は皮が焼けて ぱりぱりのカリカリ。内側はビンの水が沸騰して蒸し焼きになるという趣向です。焼き鳥と蒸し鶏が一緒に食べられるのですから、楽しいかもしれません。

 写真はベラルーシ料理「ミンスクの台所」。飯倉片町の交差点近くにある素敵なお店です。




ドロワット(エチオピア)
 コプト派という古いキリスト教を信じるエチオピアには長く厳しい復活祭の断食があります。その最後の夜に教会に行ってから、家族そろって食べるのがドロ ワットです。鶏のぶつ切りを独特のスパイスで煮込み、これまた独特の穀物を発酵させて作った蒸しクレープで包んで食べます。写真の真ん中の黒っぽいのがチ キンの煮物、春巻きのようになっていたり、皿全体にかぶせられている灰色のものがそのクレープです。
  味は、辛味と酸味が交じり合い、ほかではまったく味わえない神秘的な感じです。なんとなく静かな気持ちになったのは私だけでしょうか。
 写真はエチオピア料理店「クィーン・シーバ」。目黒にあり、外交官も愛用しています。



丸鶏カレー(インド)
 インドの鶏料理といえば「タンドリーチキン」を思い浮かべますが、インド料理研究家のミラ・メータさんに言わせる と「家庭では絶対に作らない料理」だとか。日本の握りずし同様、外のお店で食べるものだそうです。家庭で作る最高のごちそうは、丸鶏のカレーとか。いろん な木の実のピラフが詰め込まれ、カシューナッツのソースがかけられた豪華版です。
 インドのパーティーは客が付いてから料理を作り始め、奥様方は台所に出入りしながら、ご馳走を準備するんだそうです。そして出来立てをみんなで味わいま す。「カレーはできたてを食べるもの」という信念があったミラさんは、日本人が「一日置いたカレーがおいしい」というのを聞いて大いに驚いたそうです。
 インドには「隣をのぞけば、鶏のカレーも豆カレー」という面白いことわざがあります。他人と比べると、せっかくのご馳走(鶏カレー)も、みずぼらしく見 えてしまうという意味。インドでは豆カレーは「お茶漬け」みたいなものなんだそうです。
写真はミラさんのインド料理店「ビンディ」。南青山の隠れた名店です。

若鶏のつぼ煮(ポルト ガル)
 さまざまな酒に漬け込んだぶつ切りの若鶏をジャガイモやたまねぎと一緒に大きなつぼに入れ、かまどに入れて煮焼き します。リスボン近郊が発祥の地だそうです。ポルトガルは大航海時代を切り開いた国ではありますが、香辛料はほとんど使いません。だからあっさりしてい て、高級和食の煮物のような感覚の味です。
 ポルトガルには巡礼の若者が無実の罪に問われたとき、卓上の鶏の丸焼きが生き返って鳴き出し、濡れ衣を晴らしたという伝説があり、それにちなんだ人形も あります。
 写真のマヌエル四谷店は店主もシェフもポルトガル人の本格派。時には民族歌謡のファドも楽しめますよ。






バッファローウィング(アメリカ)
 フライドチキンはアメリカの代表的な鶏料理。でも手羽先については、黒人奴隷が白人の残り物を故郷の味を思い出し ながら食べたソウルフードの悲しい歴史があるそうです。
 手羽料理の中でも知られているのが、バッファローウィングです。揚げた手羽に辛いソース、あるいはスパイスを掛けて食べるのですが、ビールのつまみには ぴったりです。何でバッファローかというと、アメリカのバッファローという町のお店で40年ぐらい前にうまれたから、ということになっています。
 新宿にはその名も「ソウル・フード」というお店があって、黒人料理を紹介しています。DJをやってたり、ライブをやっていたりと面白いのでのぞいてみて は?
 


ふ化中ゆで卵(ベトナム)

 普通は21日でふ化するニワトリの卵を、14日目にゆで、塩コショウとハーブを添えて、熱々をスプーンでいただきます。骨も羽もなく、形も良く分から ず、味も食感もあっさりしていて親子丼の具に似ています。ベトナムの屋台でビールの肴としてどこでも売っていますが、アヒルの卵が9割、ニワトリは1 割だそうです。一度は勇気を持って食べてみる価値があります。
 写真は都内にある「メコン・センター」というベトナムの書籍、雑貨、食料品店を扱うお店で撮影しました。店主のドトンミンさんは辞書作りに賭けるインテ リですが、気さくにいろいろな相談に応じてくれます。