山本の主張

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2021年9月17日 新型コロナはなぜ減少するのか

このところ新型コロナ感染者数が目に見えて減っています。これまでの何波かの流行も、おなじく立ち上がりと同様の曲線で減少していて、時系列的な二項分布というグラフになっています。二項分布というのは自然界に普通に現れる現象です。たとえば個体の大きさの分布や生存期間の分布とかです。コロナはなぜ減少するのか。

これまで拡大については、京大の西浦教授などが、実効再生産数のような数字で説明していました。これはコロナウイルスは普遍で、環境因子によって拡大、あるいは減少すると説明することです。では、そんなに対策が進んだのか?人流が減ったのか?ワクチン接種者もようやく50%というレベルで、いわゆる集団免疫状態に達しているわけではありません。今の疫学者の理論からは、感染拡大は説明できても、感染減少を説明することができていません。9月12日のサンデーモーニングで、国際医療福祉大の松本教授はこの間の急激な減少を「不思議」と言われていました。

なぜコロナの流行は二項分布曲線類似のカーブをとるのか。それはコロナの流行拡大と減退が、人の努力のなせる業ではなく、自然現象だからだ、と考えると理解できます。もしコロナウイルスの感染性が変化なければ、高止まりするはずです。しかし減少する、それも感染増大期のような急なカーブで減少しています。コロナが人に感染拡大していくということは、ウイルスの複製が進んでいくということです。
そこにエラーが生じ、新型株ができるのですが、大半のウイルスにおいてはコピーが進むにつれて、失活していると考えられます。遺伝情報の乏しいウイルスの場合、コピーエラーはその大半が致死的あるいは失活的となるのだと考えられます。

では、人流抑制などの社会的対策は無意味なのでしょうか?もちろん違います。それは感染カーブの山の高さを下げることなのです。感染初期相でいかに拡大抑制をするかが勝負です。あの医療崩壊を来たしたインドでさえも、コロナの発生数は二項分布カーブをとって減少してるのは、以上の理由で説明できると考えます。しかし次の波はまた来ます。それが新株の流行で、遺伝情報がリセットされてウイルスが再活性化しているわけです。それがまた次の山を作りますが、やはり耐用期間は限られていて拡大と同じスピードで減少するということを繰り返していくのでしょう。

9月27日 追記

さて、9月9日にブログで初めてウイルス失活説を出した後、ここでの掲示と、FBへの投稿(公開)を9月17日に行い、小生の説を一般の方も知るようになりました。一部の医療関係者から熱烈な賛意をいただきましたが、FBのシェア先では山中教授のファクターXみたいなものと、否定的な論調が疫学領域の方からいただいているようです。FBの方は適宜追加の論考を記しておりますのでちらにも書いておきます。まず、最近驚いたことは、BS-TBSの報道1930の21日(火曜)の報道で、このコピーエラーによるウイルス自滅説が主要なテーマになっていたことです。しかしながら本日(26日)のNHKの朝の討論番組では、人流の抑制とか個人防御の徹底やワクチン接種率の向上などで減っているのだと相変わらずの議論がなされています。これだけ急な拡大と急な減少が短期間に起こることを環境因子で説明できると思うことが私には信じられません。上にも書きましたが、インドでも同じカーブなのです。感染関係の皆様はインドでそのような環境因子の変化が短時間のうちにあったと信じておられるのでしょうか。日本や東京のみ見たミクロの説明は必ずしもマクロの説明になっていない典型のように思います。また、アルファ型からデルタ型への置き換わりが言われていますが、せいぜい有病率1%程度の感染状況で個人のなかでウイルス競合が起こるわけがなく、これはアルファ型の衰退と、デルタ型の隆盛が同時に起こったと考えれば容易に理解できるのです。もし感染者の増減が環境因子によって起こっているのであれば、アルファ型もデルタ型もパラレルに増減するはずなのです。多くの専門家の方々が、未だにこの現象について凡庸な理解しかできていないことがむしろ私にとっては驚きです。そのうちNEJMとかでウイルス自滅説が出たら、一気になびくのでしょうけど。このインドなどでも同じカーブで拡大、減衰を生じていること、株の置き換わり、そして当初問題視された、感染後時間がたつとPCR陽性であっても感染性がなくなるといういろいろな疑問が、ウイルス自滅説をとるとすべて理解できるということは、そこに真実があるのだと思わざるを得ません。

10月7日 再追記(結構重要な論点です)

10月6日に厚生労働省新型コロナ感染症アドバイザリーボードの発表があったようです。そのなかで感染者数の急減はワクチン接種率の向上であるとか、効果的な人流の抑制などいうことが理由だと、あいかわらずの議論です。感染が急激に増大した8月がワクチン接種ゼロで、9月に100%になったとかならそういうことも言えるでしょう。しかし2ヶ月のなかでのワクチン接種率はそのような大きな差はありません。感染者数急減の理由になっていないことは明らかです。ワクチン接種率や人流などの環境要因で説明しようとする方は、東京や日本だけでなく、医療崩壊を来たしたインドバングラデシュ、そして大惨事となったインドネシアも同様の二項分布類似のカーブで激減していることを直視すべきです。東京のみ見て世界を見ないこと、これがミクロを見てマクロを見ない誤りです。だだし、そのなかで私の上記のウイルス失活説絵に直接触れると思えたのは、国立感染研究所の脇田隆宇所長(アドバイザリーボード座長)の、ゲノム解析では新型コロナの弱毒化は起こっていない、とした部分です。これをもって私のウイルス失活説は誤りと考える人がいるかもしれません。ところが実はそうではありません。これもミクロを見てマクロを見ていない同じ誤りを起こしているのです。ウイルス失活は、5%から10%、さらに30、50、90%と失活ウイルスの率が時間とともに増えていくというモデルを考えないといけません。ある日突然全ウイルスが一斉に失活を生じるわけではないのです。これがマクロの現象です。したがって、残る10%のウイルスはまだゲノムを保って感染性がある。失活したウイルスは感染性を失っていますので感染者を増やさない。ところが新規の感染者は、失活していないウイルスの感染者ということになるので、これをいくら調べてもゲノムは変わらないということになります。それでウイルスは不変と思い込むから、マクロの感染者急減という全体像が見えなくなってしまっているのです。現状は群盲象を撫でるを地でゆくようなものだと小生には感じます。