編集発行人 コサカが贈る勝手きままな
つれづれ日記です。ハッピーな日もブルーな日も
美味しい珈琲で、一息いれてください。

11月18日 竹ざる旅たび 



先日は、竹細工の編み手さんに、
大坊さん監修手廻しロースターのオプションで付く
平ザルをお願いに行くため、見本のザルを抱えて、
くま川鉄道に乗車。
途中、人吉駅の乗り換えを利用して、
九州初の国宝に指定された「青井阿蘇神社」へ。
七五三の幼稚園児がたっくさん来ていて
明るくて楽しい和やかな空気に満ちていた。
小さくてカラフルな靴が境内の前に並んでいる
様子は、ほーんとうに可愛い。




お参りしたあと、神社の隅で売られていた
天然あゆの炭火焼きで腹ごしらえしていると、
旅行者アンケートにこたえてほしいという
おばさまがやってきた。
自分はこれからザルを頼みに行くんですと話すと、
「マニアックな旅ですねえ。いい資料になります」と
喜ばれたので「これからはそういう旅が
増えるんじゃないですかね」などと調子にのる。
湯前駅までは、観光列車「かわせみやませみ」で。
水戸岡デザインの観光列車でいくと、同じ経路を走る
いさぶろうより、断然、 かわせみの方が好みだ。
群青色を基調としたシックな内装もですが、
アナウンスがない点もいい。
球磨川を眺め、くつろいでいる時のアナウンスは、
トンネルを走る時の轟音に負けないように
ボリュームを高くしているからか、耳にきんきん響くのだ。
あれは改善した方がいいと思う。



終点の湯前駅に到着。
路線バスの時刻までぶらぶらしていたら、
品揃え豊富な「上米良鍛冶店」が目に入った。
興味津々で外から眺めていたら、こちらをみている
奥さんと目があった。
「立派なざるを持ってあるから、店に
入ってこられないかなあと思っていたんですよ」と
笑いかけてこられる。
なんでもこの鍛冶屋には、九州じゅうの竹細工職人が
マイ道具を求め、やってくるらしい。
職人どうし、初対面でもすぐに打ち解けるんだとか。
これからAさんにザルを頼みに行くんですと話したら、
つい先日道具を買いに来られましたよとのこと。
いい職人さんを探すには、道具屋の線から
あたるってのもひとつですね。



ローカルバスの乗客は、私ひとり。
でっかいダムの脇のくねくね道を経て、水上村湯山へ。
約束の時間までだいぶん間があったので、
その辺を散策した。市房山は、想像より大きく九重を思わせる。
聞こえるのは、風に揺れる木の葉ずれの音や
鳥のさえずりくらい。
民家がありながらも人がいなくて、生活音もない感じは、
子どもの頃を思い出す、開放感

空家の軒先きの無人販売では、立派な原木しいたけや
白く、鮮烈な香りを放つ大根が売られている。
すべて100円!なんと贅沢。





しいたけ料理のバイブルといえば
『大分県のしいたけ料理の本』 (西日本新聞社)




村の温泉に入ろうとしたが、定休日だったので
近所の神社に行ってみた。
空気はいいのに、あまり地元の人に
大事にされていない感じが残念であった。
そこらに置いてあった帚で階段を掃いてみながら、
かつて陶芸家の友人が家のそばの神社の掃除が
日課なんだと話していたことを思いだした。
自然相手の仕事だからこそ、
より神様や天をそばに感じられるのだろう。
私も取材を通して、神社に行く機会はかなり
多かったはずだけど、神社に対して
どういう気持ちで向き合えばいいか、これまでわからなくて、
それと照れもあって、形だけ手をあわせるだけだった。
人それぞれに、何かと出会う、または
出会いなおすタイミングってあるのだろうな。
神社の脇にしいたけのほだ場があり、
むくむくと顔をだす、しいたけさんが見られたのは
いいことであった。
良いほだ場には、神聖なものがながれている。







ザルを頼んだAさんは、地元の名士らしき75歳。
保護司をされ、国から勲章も授与されていた。
家の裏の仕事場には、切り出してきたばかりの
青竹やら、編みかけの青々としたザルなどが所狭しと並んでいる。
「私はもう稼業は引退して息子に任せたから、
今は好きな竹細工と畑をおもいきりできるんです」と、
平ザルも快く引き受けていただいた。
ザルの写真を送るか現物を送るかと思っていたが、
竹から切り出している方ならば、実際に会って
お願いした方が引き受けてくださる確率が高いという
読みはあたり、長きにわたるザル問題は解決したのだった。
帰りは、駅まで車で送ってくださった。
車中で神社の話をすると、その問題は地域の呑みかたでも
必ずあがる議題だというので、やっぱりみんな
同じことを思っていたんだと想う。
あの神社をもっと大切にすれば、
村全体もさらに良い感じになるだろう。



先日は12月2日開催の文化学会コーヒーを楽しむ会の
打ち合せで「珈琲蘭館」へ。
詳細はまたお知らせしますが、皆さんとワイワイ
珈琲を飲みながら打ち合わせしました。
田原さん、いつも唐揚げや手製のカレーピラフと味噌汁など
ありがとうございます。味噌汁、絶品でした。




で、
日付けが変わった朝、 「ねるっこ」で、
「蘭館」の秋珈琲をいれてみた。美味しいですね。
田原さんによると、この秋珈琲ブレンドは、
森光さんから「ねるっこ」に合うように
2ハゼまで灼いてみてといわれ、焙煎したものらしい。
蘭館で秋珈琲の注文が入るたび、
「あきこー、ひとつね」「あきこーね」なんて
私が注文されているようで、こそばゆい。
人には、いや女性は特にだけど
名前で呼ばれるタイプと、名字で呼ばれるタイプがいて、
自己肯定感が高い人ほど名前で呼ばれる率が高いと
以前から気づいてはいたけれど、
私はだんぜん名字派である。
でも先日、コンサートの打ち上げで大坊さんに
友人の感想メールを見せた時、だいぶん興奮されていたのか、
やったな、小坂!」と呼び捨てにされたのは、
嬉しかったなあ。
部活の後輩・・・。
ま、いいんだ、そういうの好きだから。



また違う日。
ここ2〜3日、目的を見失った人のように
そわそわして落ち着かない。
やることはたくさんあるのに手がつかず、
そんな自分に焦りをおぼえて、気がつけば
携帯の時計ばかりを見てしまう。
夜も疲れて、風呂をためても入らないまま撃沈していたり、
喫茶店に行くのも逃避のような気がするし、
かといって机に座っても最低限のことしかできず。
だけれども、ここで自分を責めるのはよそう。
これから年末まで、ふたたび旅ガラス生活が続くので、
その不安があるのかも。原稿書きへの心配もあるし、
リタ−ン品の映像が無事にできるかという不安とか。
だけど、それもすべて事態が動いているから
起きている感情なのですよね。
それとよくよく原因と向き合うと、やっぱり体調が
いまひとつというのもある。
こういう時は、まずお風呂に入ろう。
それから私にとって神社ともいえる喫茶店に行こうかな。
それではまた明日。


                   (編集発行人 コサカ)



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