「天神福岡銀行本店前」 → 「天神メリルリンチ証券前」
天神のバス停にみる「外資金融」の威力

 すでに福博情報館(2月、3月分の福岡の情報に掲載)には出ていますが、3月1日から天神のバス停の一つ「天神福岡銀行本店前」が「天神メリルリンチ証券前」に変わりました。名前変更以来、3カ月がたちますが、いまだにバス停名を復唱する運転手さんの口がまめらなかったり、ご年輩の乗客が「それはどこですかね」と聞き返す場面によく出会います。で、一体どうしてこういうことになったのか、手の届く範囲で調べてみました。



たしか、ここは「福岡銀行本店前」バス停では、、、
 現在、天神地区で企業名やビル名を「天神」の後につけ区別しているバス停は20数カ所あり、便数などに応じた金額で広告契約しています。「天神福銀前」もその一つで、しかも、「岩田屋前」などとともに、その歴史は西鉄でも「はっきりと分からない」というくらい古い(一説によると40年以上)。しかし福銀前などの「老舗」は、もともとは西鉄側から区別のために名称の使用を申し入れたという経緯もあり、その契約料はかなり安めとのこと。

 広告契約は基本的に1年契約となっているようですが、西鉄は新たな収入源の一つとして、「老舗バス停」についても契約更新時に、定価に少しづつ近づけようと交渉をしているようです。しかし、長いつきあいがあることと、利用者の間で定着していることもあり、結局は西鉄側が折れて「格安で」契約更新をしていることが多いようです。
いつのまにか「天神メリルリンチ証券前」になっていた!


メリルリンチ日本証券福岡支店
 そこで出てきたのがメリルリンチ日本証券。福岡での知名度拡大を目指している同社としては、毎日数百便のバスの車内で社名が連呼されるのは魅力。さらにもっと重要なのは「定価」を払える体力があること。一方、銀行業界はリストラの真っ最中。福岡銀行でも大幅な経費削減方針を打ち出しており、とても定価(巷では1000万円とも噂されています。実際はもう少し安いようですが)を払える状況ではありません。
 こういう条件が重なって、天神で「由緒正しい」バス停の名前が「外資の力」に屈してしまったのです。

 じつは、メリルがらみでは昨年も一つのバス停が消えています。もうお忘れかもしれませんが、「天神山一証券前」。こちらも、福銀前と同様に歴史ある名前でした。こちらは、別にメリルが「消した」わけではありませんが、なんか因果を感じます。
 確かに今の日本金融業界のていたらくの原因は、金融当局だけではなく企業側にもあること、日本が資本主義社会であることを考えると、これらの変化は経済原理として受け入れるべき状況なのかもしれませんが、一抹の寂しさを感じるは、私だけでしょうか。

山一証券の跡地
現在は新しいビルが建設中


福岡銀行本店
 ちなみにバス停に名前をつけられる条件としては「バス停を降りたとき、遮る物なく直線上に見えること」という条件があるようですので、メリルがねらうには丁度よかったんですね。でも福銀本店のまさに真ん前にバス停があることを考えると利用者サイドからみれば、西鉄の対応には「?」かもね。

文:重村誠志(福岡市在住)/写真:向井 (1999/5/25)

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